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小説【コーヒーブレーク】最終回

快晴だった。

私と久美は、公園のベンチで缶コーヒーを飲む久しぶりの時間を持てた。

ブラスバンド恋ダンスの練習も佳境に入っている。

あの事故が何日も昔のように思える。

「あの身の上話はいつも『からたちの花』で終わるが、そのあとはどうなるんだ?」

久美が訊いてくる。

「どうもこうも、スナック勤めの母親と暮らすことに決めて、この町に来た。編入試験を受けさせてくれたから、この学校に入った。母はスナックの常連客と結婚して、親子3人仲良く暮らしています。以上」

ちなみに、母はまだスナックに勤めている。

「その、永久に罪は軽くならないという考え、変える気はないのか?」

「ないわ」

それだけは譲れない。そう思ったら、たぶん、おしまいだ。

「規子らしいな」

そう言って、久美はコーヒーを飲み干した。

「ところで、停学2週間って、いつからなの?」

「事故発生日から」

「そうかぁ」

「被害者からの嘆願書、名文だったらしいぞ」

「私たちの嘆願書に較べて?」

「言うまでもない」

「……無駄なこと、したのかしら?」

「違うね。この世に無駄なことなんて一つもない。

このコーヒーブレークだって、最高にクリエイティブな時間だろ」

どうしたんだろ、今日の久美は?

「そういうわけで、自分を変えてくるから」

不意に久美が立ち上がった。

「どこ行くの?」

「あれに参加する」

「あれ」って、恋ダンス!?

参加するってことは、定演のステージに立つということだぞ。

ダンスチームは、ちょうど小休止に入ったらしい。

久美は2年生と何か話していたが、やがてラジカセの音楽が始まり、久美が一人で踊り出した。

公開オーディションだ。

そして、決して下手ではない。。

風紀委員長がダンスに飛び入りなんて、定演のサプライズにもってこいだ。

おいしいところを、さらわれてなるものか。

私も立ち上がった。

ダンスは苦手だが、私にも何かできることがあるはず。

そんな確信をもって、歩き出した。

【終わり】

まとめ読みは、

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