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透明な猫

【贋怪談徒然日記(2508)】

★某月某日

友人宅での体験談のひとつを。

長文になります、すいません。

そいつ(仮称、I)とは今でもよく遊ぶんですが。

学生の頃からの付き合いで、そいつの親父は学生時代になくなり、元々母とは離れて暮らしてました。

なんでちょくちょく溜まり場にしてたんです。

で、Iの親父はかなり悪い人で、それが元で母は逃げ出し、姉も成人直後に逃げました。

暴力をすぐ起こすタイプらしくて、一度しか見たことないんですがかなり怖かったw

その親父殿がなくなってからはほぼ毎日私はIの家にいました。

私の家は大学から遠くて不便だったので半分下宿してる感じで。

で、大学際の準備に追われていた頃のこと。

当時サークルの幹部だった私とIは準備におおわらわでゆっくりできませんでした。

冷え込んでくる季節だったのもあってか、私は風邪でダウン。

車でIの家に送ってもらい休むことになりました。

自分用にあてがわれた布団で仮眠すること数分。

金縛りが来ました。

この家ではわりと頻繁に金縛りにあうのです。

以前は輪郭線だけはっきり見える透明の猫が私に乗っかってましたし。

・・・その猫、多分Iの親父が殺した奴なんですよね。

まあ今回の件とは関係ないんだけど。

私は「またかいな」うんざりとしながら特にそれ以外の変調はないんでほっときました。

普段は金縛りにあってもほっといたら解けてるんで。

でもそのときは違いました。枕元に何かいるのに気づいたんです。

首はまわせませんがどうもそれは正座している老人のようです。性別は不明。

なにやらごにょごにょ呟いている。

ゾクっとしました。

内容は不明ですが非常に呪詛っぽい。

何故かしらんが私に対して悪意を放っている。

しかもその老人は正座したまま口元を少しずつ私の耳に寄せてくるんですよ。

発音は聞き取れないのですが、声が大きくなったその時。

急速に私の体が上に引っ張られました。

吸い込まれるというか、上に落ちていくような感覚。

ただし身体は布団に張り付いている感じで。

いわゆる魂だけが上に落ちて行きそうになってる。

老人の呪詛とは別に、身体の内側からザーーーッと音がする。

深夜のテレビの放送終了時の砂漠みたいな音です。

呪詛は遠くなり、変わりにその音が大きくなってくる。

次第に身体と意識が剥離していく・・・。

で、私は、というと、それまでは金縛りを解こうと必死だったんですが。

突然プチっと切れてしまいました。

なんで俺がこんな奴に呪われなきゃならんのだ、いやむしろこいつを殺そう。

貴重な休息を邪魔した奴に制裁を加えねば死んでも死にきれん。

身体中に沸き起こる憎悪w

なんだか内側から熱いものがこみ上げてきます。

そして叫んだ・・・はずでした。

口から出たのは

「羽ニュにゅれあqwせdrftgyふじこlp;」

・・・なんかこんな感じの。

雄叫びじゃなくて変な奴の独り言レベルの音量で。

私の口から漏れた言葉としてはおそらくもっとも甲高くか細い声でした。

金縛り中は喉も金縛りにあってるんですよね、多分。

それにしてもひどい声。

・・・・・・不幸中の幸いといいましょうか、すごい気恥ずかしさが私を覚醒させましたw

ぱっと上半身起こして辺りを見ると、なんかおばさんが玄関から出て行こうとしてました。

自分が寝てる部屋は玄関のそばだったんです。

とにかくさっきまでの老人とは明らかに違う人です。

自分の親戚に似ている気がして、「○○おばさん?」と呼びかけたんですが無視されました。

玄関がガチャっと音を立てて、すぐに静寂。

冷静に考えると友人の家に私の親戚が来るわけないんですけどね。

とにかく疲労していた私は少しの間辺りを見回すとまた布団に入り込みました。

我ながらいい性格してますなw泥棒かもしれんのに。

しばらく寝ていたら帰ってきたIに起こされました。

「お前水こぼしたらちゃんと拭いとけよw」

とか言うのです。

どうやら台所から玄関、そして枕元に僅かずつ水がこぼれているようでした。

また、誰も閉めた覚えがないのですが玄関には鍵がかかっていたそうです。

なんとも不思議な気分でさっきの現象を語り、うわ、こええwとかでその場は終わりました。

後日Iが青くなって語るには、Iの親父が昔京都にいた頃付き合っていた女性が入水自殺してたとのこと。

時期はちょうど学際直前頃らしい、といいます。

一応その人も仏壇に祀ってあるとのことで見せてもらいました。

仏壇脇に飾ってある白黒写真は私が玄関から出たと思っていたおばさんにそっくりでした。

そのときはIと二人して、変に辻褄合うじゃん、ははは・・・と乾いた笑いをこぼしました。

即、線香を上げて手を合わせたのは言うまでもありません。

しかし老人が何者だったのかは不明のままなんですけどね。

にしても、くらった当時はかなり怖かったはずなのになんだか怖い話じゃないみたいな気がw

あと、最近は慣れて金縛り中にも無理矢理叫べますが。

恥ずかしくなるほど変な声を出さないように、皆様も気をつけてくださいw

Kさんからの投稿。

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